2025/07/03 12:00
エネルギーを作っているミトコンドリアの重要さについて「鉄」の視点から探っていきます。
鉄不足によりミトコンドリア酵素複合体が働かないとしたら、人体のエネルギー産生はどれだけ目減りしてしまうのでしょうか?
鉄不足によってミトコンドリア酵素複合体が機能不全に陥ると、人体のエネルギー産生の大部分が失われます。
その理由と影響を、科学的かつ具体的にみていきましょう。
非常に本質的で深い問いです。結論から言えば、鉄不足によってミトコンドリア酵素複合体が機能不全に陥ると、人体のエネルギー産生の大部分が失われます。
その理由と影響を、科学的かつ具体的に解説します。
① ミトコンドリアが担うエネルギー産生の割合
● 人体のATP産生の内訳
エネルギー供給経路: | ATP供給割合 ← ⚠️⚠️⚠️⚠️⚠️ |
---|---|
ミトコンドリア(酸化的リン酸化): | 約90〜95% ← ✔︎免疫暴走にストップ をかけるために必要なATP |
解糖系(細胞質): | 約5〜10% ← ✔︎体内に侵入する外敵に 対して「攻撃始め!」を掛けるために 使われるATP |
👉 ミトコンドリア機能が失われると、ATP産生はわずか1/10以下に低下。
👉 免疫暴走を防ぐには、ミトコンドリアが健全に働いていることが必要なのですが、現代日本人の多くが「鉄」に関しては圧倒的に「栄養不足」なのです。
⚠️ そして、鉄不足を解消するために必要なことは、「まず、鉄を摂取することから始めてはいけない!!」ということなのです。
そのための⬇️なのです。
② 鉄不足がもたらすミトコンドリア機能障害
● 鉄が必須なミトコンドリア構成要素
複合体I〜IV → 電子伝達系の中心
アコニターゼ → TCA回路
鉄硫黄クラスター合成酵素
ミトコンドリアフェリチン(FTMT)
● 鉄不足がもたらす機能障害
機能: | 障害の内容 |
---|---|
電子伝達系: | 電子の受け渡しが不能→ATP合成停止 |
TCA回路: | アコニターゼ停止→NADH・FADH2生成停止 |
Fe-Sクラスター: | 合成不能→多くの酵素が不活性化 (エストロゲン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、幸せホルモンなど) |
活性酸素制御: | 抗酸化力低下→ミトコンドリア損傷進行 |
③ エネルギー産生の目減り量
酸化的リン酸化が停止 → ATP産生は90%以上減少
残るのは解糖系によるごくわずかなATP(10%以下)
● 数字で示すと
状態: | 1分間のATP産生(仮定) |
---|---|
正常時: | 100単位 |
ミト機能低下: | 5〜10単位(90〜95%減) |
④ ミトコンドリア機能停止が人体にもたらす影響
障害の種類: | 具体的な影響 |
---|---|
エネルギー不足: | 極度の疲労感、無気力、筋力低下 |
神経障害: | 脳のエネルギー不足→思考力低下、記憶力低下、抑うつ、不安 |
心筋機能低下: | 動悸、息切れ、心不全リスク上昇 |
骨格筋障害: | 筋肉の乳酸蓄積→筋肉痛、脱力 |
免疫低下: | 好中球やマクロファージのATP不足→感染症リスク上昇 |
酸化ストレス増大: | ROS蓄積→細胞死(アポトーシスやフェロトーシス) |
内分泌障害: | 甲状腺、副腎の機能低下(これらもミトコンドリア依存) |
⑤ 臨床的に見られる症状と疾患
軽 度: 慢性疲労、集中力低下、冷え性、爪や皮膚の脆弱化
中等度: 貧血、筋無力、免疫力低下、動悸、息切れ
重 度: 心不全、神経変性疾患(パーキンソン病類似)、ミトコンドリア病様症状
⑥ 身体がとる代償的反応
解糖系の強化 → 血糖の過剰消費、乳酸蓄積(乳酸アシドーシス)
脂肪酸酸化の抑制 → β酸化もミトコンドリア依存
筋肉や脂肪の分解 → 糖新生のため
脳や心臓へのエネルギー優先供給 → 四肢や皮膚へのエネルギー供給低下→冷え・末梢障害
⑦ 決定的なポイント
✔️ 「鉄不足は単なる貧血の問題ではない」
→ 貧血は氷山の一角。深刻なのはミトコンドリア機能障害による全身のエネルギー代謝破綻。
まとめ
鉄不足でミトコンドリアが停止すると、人体のエネルギー産生は90%以上低下。
それに伴い、慢性疲労、免疫低下、心筋障害、神経変性、酸化ストレス上昇といった深刻な症状が発生する。
鉄は血液だけでなく、「エネルギーそのものを作るための金属」といっても過言ではない。
現代の日本人は圧倒的に鉄不足のためにミトコンドリアがまともにATP(エネルギー)を作れていません。
そのために免疫の行き過ぎた働きにSTOPを掛けることができないのでした。
では、ミトコンドリアにはいったいどれだけの「鉄」が必要なのでしょうか?
次回はこの辺を深掘りしていきましょう。